関節疾患の季節的変動

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―海外の文献より―
Latman13) 1981年(USA 温帯気候)
RA患者2802人の月別CRPとESR
季節によりCRPとESRに有意な変動はなかった→一人に1回の検査の為?

Patberg21)1997年 気温と関節痛とESRの季節変化 オランダ(marine climate)
本人がRAであり、気候とRA症状を詳細に記録検討した。
気温変化の30日後、蒸気圧変化の9日後に関節症状が変化する湿度が低く、低気温のときが症状がよい。薄着のすすめ。

4)なぜ気候でリウマチの症状が変化するのか?
Hill11)の仮説:
”Climatron”での追試で、湿度上昇と気圧低下の時に利尿がおこる。
⇒正常組織では、低気圧に対して細胞内の水分を血流へ押し出すことで調節しているが、病的な細胞は透過性が悪いため水分を貯留し、細胞内圧があがる。この圧の勾配が疼痛を増し、組織の腫脹をきたす。
行山36)
正常者で急激な気象変化の際、尿中カテコールアミン、セロトニン、コーチゾンなどが増えるのは、適応するための内的変動の結果。リウマチ患者では慢性的関節のストレス状態で適応に関する系がフルに働いているため、適応の余力が少ないことが症状の悪化をもたらす。
延永17)
こりと痛みの発生機序

2.変形性関節症(OA)と季節
OA症状のみの季節的変動を分析した文献はみつからない。ほとんどの文献が、RAと比較あるいは同時に検討したものである。
1) Hollander 12) (1963)
  4名のOA患者をClimatronで生活させ、気象要素を変化させて疼痛との関係を解析した。温度と気圧が、疼痛に影響していた。
2) Sibley 30) (1985)
  35名のOA患者で、VASと気象要素の関係を統計学的に解析した。
有意なものは、なかった。
3) Guedj 10) (1990)
  24名のOA患者で、関節の疼痛-腫脹、活動性と気象要素を統計学的に解析した。温度、雨、気圧が疼痛に影響していた。
4) Strusberg 32) (2002)
  52名のOA患者で、1年間の疼痛、VAS等と気象要素を統計学的に解析した。低温と高湿度が、疼痛に影響していた。

OAの疼痛も低温、高湿度、低気圧などで強くなるようである。

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